お腹のマッサージ・按腹療法

ここでは、お腹のマッサージ(按腹療法)のやさしい手技テキストを紹介します。
これは、按腹(あんぷく)と言い、
古くから内臓の機能亢進を図り、全身症状の改善や、体力の回復によく用いられてきた施術です。
当院では比較的行いますが、あまりご存知ではないためか、他院では行うことが少ないようですので、
参考になるかどうかは別にして、勉強のためのテキストとしても紹介してみたいと思います。
(当院ではこれらの手技を全て行うことなくいくつかの手順を省くことがあります)。
なお、素人の方には、わかりにくい専門用語が多数出て来ますが、
取り合えず文字や言葉の感じで大方は理解して頂けるものと思います。

まず腹筋を弛緩させるため仰臥させ、軽く両膝を立てさせます。
そして、施術者は、その左側に位置して行うことを原則とします。

(1) 肩上部を軽く四指揉捏した後、正中線に沿い両手掌で下腹部まで按撫し圧迫震顫を加える。

(2) 次に、左手掌を下腹部に置き、右手掌を心下部より乳間を経て右肩関節部まですすめます。
続いて、心下部まで逆行し、再び乳間を経て、左肩関節部まで按撫し、また心窩部まで戻ります。
さらに、右肋骨弓にそって右側腹部にすすめると同時に、
下腹部に当てた左手掌を左側腹部にすすめ、両手同時に軽く側腹部を把握し震顫を加える。

(3) 肋骨弓にそう、拇指丘按撫
まず、左手は下腹部に固定します。
そして、右拇指丘にて心下部より肋骨弓にそって側腹部まで左右交互に按撫し、そこで軽く圧迫する。

(4) 次に、拇指と、四指を開き、まず、左手を下腹部に固定し、
同じく開いた右手を胸骨下部に当て、その拇指腹と示指腹で、正中線の両側を下腹部まで按撫し
両手が合ったところで、圧迫震顫を加える。

(5) 次に、乳房下部に当てた両手掌を左右同時に腰部にすすめ、
側腹部を経て臍の両側まで絞り上げ、腹直筋を把握牽引し震顫を加える。

(6) 続いて、心下部に当てた右手掌が肋骨弓に沿い、右側腹部に向かって按撫を始めると同時に、
右側腹部に当てていた左手掌は、下腹部を経て左側腹部に進み
両手同時に側腹部を、軽く把握震顫し、さらに左手掌は下腹部を経て右側腹部に向かって按撫を始め、
同時に、右手掌は肋骨弓にそって、左側腹部に進め左右同時に、把握震顫を加える。

(7) 白線に沿う艪盪(ろとう)揉捏
重ねた両手の手根を白線の左側に当て、そして、
四指は右側に当て、腹直筋を大きくつかむように上から下に向かい和船の櫓を漕ぐように揉捏する。

(8) 白線に沿う鋸切状揉捏
まず、開いた左手を下腹部に置き、
右手は心下部に当て、腹直筋をつかむように互いに、反対方向に押しやりながら徐々に接近し、
臍部において行き当たったとき両手で腹直筋を把握牽引し、さらに軽く震顫を加える。

(9) 左右下肋部の艪盪揉捏
左下肋部は胃を、右下肋部は肝臓を目安とし、重ねた両手掌で、艪盪柔捏を行う。

(10) 正中線に沿う輪状重責手根揉捏
左手を重ねた右手根にて、正中線上を心下部から下腹部まで輪状に揉捏する。

(11) 結腸の経過に沿う手掌按撫
左手を右鼠頚部に固定し、右手掌主として手根部で、盲腸部より始めS字状部で軽く圧迫する。

(12) 腸部の輪状重責手根揉捏
(11)と同じ経路を(10)と同じ形で輪状に揉捏する。

(13) 腸部の、輪状重責四指揉捏
前と同じ経路を重ねた四指で揉捏する。

(14) 腸部の手拳(しゅけん)圧迫
これもまた前述と同様の経路を左右の手拳にて交互に圧迫を行なう。

(15) 肋骨下縁の、交互制四指頭圧迫
肋骨下縁に四指を差し込むようにして軽く圧迫する。

(16) 側胸部の手掌揉捏、及び側腹部の把握揉捏
側胸部を、左右同時に側腹部まで揉捏し、(輪状にて行う)そして把握する。

(17) 次に、両手掌を左右の側腹部から腰部に進め、腰椎の両側に四指揉捏と四指くじきを行い、
さらに、側腹部から臍部に戻り、震顫を加える。

(18) 腹部全体の拳摩震顫
腹部全体を、時計回りに拳摩し、震顫する。

(19) 内臓神経層の、交代制圧迫
左手を恥骨結合と臍の間に置き、右手は臍と剣状突起との間に置き、左右交代制に圧迫震顫を加える。

(20) (2)と(1)の按撫を、行う
これで終了となる。

以上ですが、何かご質問でもありましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。