東洋医学の基本的思考・陰陽五行論

東洋医学の基本的思考である「陰陽五行論」のその基礎的部分だけをかいつまんで述べています。
とは言え、壮大で奥深いこの理論を総てお伝えする事など、到底不可能であり、また、多少難解な点があるかとは思いますが
この学問の持つ性質、あるいは雰囲気などをより正確にお伝えするためには、
ある程度の言い回しの難しさはお許しいただいてお読み頂ければ、その不思議な面白さにきっと興味を引かれる事と思います
そしてまた、何かの参考にでもして頂ければ幸いです。

これは、古来からの東洋(中国)の文化における、基本的な哲学の思考です。
(1) 陰陽
この世は天地陰陽に分かれ、この二つが交わって五行を生み、森羅万象は総て、この陰陽五行の中に含まれると考えるのです。
陰陽は互いに、相対する間柄であり、明と暗 上と下 東と西等ですが、これには、
陽実すれば陰虚し、あるいは陰実すれば陽虚すると言う、シーソーの様な拮抗作用があります。
陽は、熱性で能動的積極的であり、陰は緩性で受動的 消極的であると考えます。
これを人の体で言うと、男は陽で女は陰、頭は陽で足は陰 背中は陽で腹は陰 外部は陽で内部は陰となります。
また、病の面から言えば、急性病は陽、慢性病は陰 腫れ痛みは陽 痩せしびれは陰 発熱は陽 寒冷は陰 
などと総てを陰陽にわけて考えます。
しかし、実際には、陽中に陰陽在り、陰中にも陰陽が存在し、常に、両者が混然と融和して一体となっているのが姿です。

2) 五行
五行とは、天地陰陽が自然界に、形をとって現れたものであるとし、
これを、木(もく) 火(か) 土(ど)金(こん) 水(すい)と言い、万物総てはこの五種類のいずれかに属するのです
これは、あくまでも概念であり絶対的なものではなく、
前述の陰陽と同様、木中に、木火土金水在り、火中にも木火土金水が存在するのです。
これらには、 相生(そうしょう)関係(相生まれる)
相剋関係(そうこく)関係(互いに抑制し合う)
勝復(しょうふく)関係(再び勝つ)
と言う三つの関係があります。
相生関係は生み生まれる、仲の良い母子の間柄であり、
木は火を生み 火は土を生み 土は金を生み金は水を生み 水は木を生む。
これを漢文で言うと、
木生火(もくしょうか)火生土(かしょうど)土生金(どしょうこん)金生水(こんしょうすい)水生木(すいしょうもく)
となります。
相剋関係は夫婦の関係とも言われ、互いに、抑制し合う間柄であると言えます。
木は土を剋し 土は水を剋し 水は火を剋し火は 金を剋し 金は木を剋す。
これを漢文で言うと、
木剋土(もくこくど)土剋水(どこくすい)水剋火(すいこくか)火剋金(かこくこん)金剋木(こんこくもく)といいます
勝復関係は、相生 相剋関係それぞれが、その特徴を現し、
常に五行を平らにする、自然平行関係であり、もし、火の気昂ぶる時は金はその剋を受け 
金剋される時は木旺気し、木旺気する時は 土剋を受け土剋を受ける時は水旺気する。
その結果、水の旺気は、ついに火の昂ぶりを抑制しその母たる金を救い、五行は常に平らとなる。
すなわち、金剋を受ける時は、その子水立ってその剋する火を制して再び勝つと言う理論なのです。
後略
以上、ほんのさわりだけ述べただけでもこの哲学の特異性、あるいは難解性がよくお分かり頂けた事と思います。
東洋医学とは、この理論を基本理念として人の体の、格器官組織を五行にあてはめ
脈診・視診・触診・問診等により、その虚実を推し測り、鍼灸術などを以って、治療にあたるものです。
しかし、私自身この理論の、本格的実践には、まだまだ勉強不足であることを、正直に告白しておきたいと思います。
以上ですが、何かご質問でもありましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。

2004年